新しい年を迎えて

新年あけましておめでとうございます。

皆様と元気に新しい年を迎えることができて本当に嬉しく思います。

重症心身障害児・者ならびに施設を取り巻く環境の変化は激しく、国全体がそうであるように、先を見通せない状況が続いています。

めまぐるしい変化の激流に飲み込まれないように、微妙な舵取りが求められています。

毎日を精一杯生きている重症児・者とご家族の方々が安心・安全に生活できるような環境づくりのために、今年も皆様と共に努力したいと思います。

さて、昨年4月1日にいわゆる「つなぎ法案」が施行され、本年4月には「障害者総合支援法」が施行されることが決まっています。

これらの改革においては、障害者の地域移行と相談支援の強化という点は一貫しています。

また、障害種別による区分をなくして支援の谷間のないことを目指しており、「つなぎ法案」において、児童については今までの肢体不自由児施設や知的障害児施設という分類から、医療型と福祉型、入所と通所という大きな枠組みで分けた体制に組みかえられました。

一方で、成人は基本的に従来の自立支援法に基づく支援になりました。その結果、大人になってからも発達する重症心身障害児・者を支援する児者一貫体制を担ってきた「重症心身障害児施設」は法律上消失しました。

現在のところ、実質的に従来と同様に一体的な運営を認められていますが、法律上は、児童福祉法に基づく医療型障害児入所施設及び障害者自立支援法に基づく療養介護事業所ということになりました。

療養介護事業所ということになれば、発達という視点は全くなくなってしまいます。過去50年余りの間に、当事者とその家族や私達がいっしょになって積み上げてきた原点が失われる恐れもあります。

昨今、現在の状態は当然のことと感じている人も多々いらっしゃると思いますが、今の状態は過去のたゆまない努力の積み上げによるものを忘れてはならないと思います。

貴重なものほど「守る」努力を怠れば、あっけなく無くなってしまうことが多いのではないでしょうか?重症心身障害児・者の方々は、毎日、必死に生きることで、「世の光」となることにより社会貢献しているといえます。

彼ら・彼女らに替って、その権利を守る努力を保護者や支援者が協力しながらしていくことが必要です。

 

ところで、私もこの歳になると今までの人生を振り返ることが多くなりました。一方で、まだまだ「未来」に夢をはせることもあります。

若い方なら、未来の夢の部分が大きいと思いますし、また、もっと夢を語れるような世の中でなければならないと思います。

過去を振り返ると、私のような歳でも、生きている間に世の中はずいぶん変わったと感じます。

自分のこどもの頃は、「三丁目の夕日」の世界であったのが、高度成長期やバブルの時代を経て、いつのまにか周囲の環境は未来都市の様相に急速に変わりました。

これが、私より年配の方なら、太平洋戦争の経験を経ていてもっと劇的な変化を体験してきていることでしょう。

振り返ってみると、いろいろ批判はあっても、確かにこの間に福祉の制度や環境は改善されてきたところが多いなと感じるのではないでしょうか?

それを思うと、「変わる」こと自体は、時代の変化に伴う当然のことであり、変わることは悪いことではないということがわかります。

何かを「守る」ときに、往々にして、自らの既得権を頑なに守るために、権利のみを主張して、「何も変えない」的な主張をすることがしばしばあります。

大事なのは、若い方々が(もちろん若いと思っている人も含めて)「未来」を見据えて夢をみることのできるように、「変わりながら大切なものを守る」ことではないかと思います。新年を迎えて、何が大切か、何を変えなければならないかを真剣に考えてみたいと思います。

 

院長 服部英司

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