新年おめでとうございます。
昨年、2010年の漢字は、「暑」でしたが、重症心身障害児・者施設についての議論も大変「暑い」ものがありました。
障害者総合福祉法の制定に向けて、政府内に設置された障害者制度改革推進会議において、
重症心身障害者施設を含めた障害児・者入所施設が「人権侵害」であると非難する発言が相次ぎ、重症児・者の命と生活を守るために日夜努力してきたつもりであった関係者は、大変ショックを受けたのではないでしょうか。
現在、私達に求められているのは、誰かを批判して、抵抗勢力に仕立て上げて、白か黒かの議論をすることではなく、どうすれば、多くの障害を持つ人たちが安全に自立した生活を送れるかを具体的に考えることであると思います。
入所施設が批判されるのは、個人の個性や思いを無視?して一律の対応をしてきたのではないかという点だと思いますが、それならば、今、議論するときにも、いろいろな障害を持ち、状態も異なる方々を、個々のレベルで理解し、個人個人の要求に合った適切な対応を考えていかなければなりません。
「障害」という言葉で単純にひとくくりにするべきではないでしょう。
諸外国には存在しない重症心身障害児施設のことを外国の例をコピーして議論するだけでは実りある結果は生まれません。
重症心身障害児施設は、重症児の命と生活を守り、「この子らを世の光に」との思いから、
家族と職員がいっしょになって作り上げてきたものです。
そこには、保護の対象というよりも、生きることの意味を教えていただく人としての重症児の存在を感じさせるものがあります。
本当に、この人たちに施設はいらないのか?
いらないとすれば、地域の受け皿としてどのようなことを整備すればよいのか?
ということを、冷静に、じっくり議論して、机上の空論ではなく実行力の伴った施策として行っていただきたいと思っています。
今年は、当センターとしても、地域支援機能をますます充実させるべく努力していきたいと思っています。
入所機能を核として、そこから得られたスキルを地域の障害児・者支援に生かすことにより、地域におけるしっかりした存在価値を築き上げたいと考えています。
政府の議論や自治体の施策の進展と相まって、地域の障害児・者の方々に少しでもよい年となることを願います。
西宮すなご医療福祉センター
院長 服部英司
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